◀◀◀次の記事                               次の記事▶▶▶

道路法42条と交通事故・国家賠償

時として、「道・道路」の不具合に関しての自動車事故というものがありますが、その原因が「道路」にある時は、国家賠償ともなります。

1⃣ 道路

一般に「道路」という時には、「公道」と「私道」とに分けられます。(広義な分け方)
その道路の法律には、道路法・道路運送法他があります。
道路法(名前が何処か似ていますが、道路交通法ではなく)は昭和27年に制定されましたが、道路法上に言う道路とは、高速自動車道・一般の国道・都道県道・市町村道を言うとあります。

ちなみに、建築基準法上の道路とは、道路法や都市計画法の道路で幅が4m以上のものを言うとあります(建築基準法第42条)


・道路法42条【道路管理者の道路の維持修繕】についての条文があります。

第42条 道路の維持又は修繕

「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない」


「事後対応」ではなく「予防保全」

この条文中の「維持し、修繕し」は、予防を基点としています。つまり、道路が、(損傷しているところはすぐ修繕し)損傷をしたから修繕する(事後対応)のではなく、常に点検し、劣化などからくる、将来の損傷などを適切な維持管理定期的な点検を行い、軽微な損傷の時に修繕を行う(予防保全)事になっています。「道路法等の一部を改正する法律」6 月 5 日公布(平成 25 年法律第 30 号)

※「維持・補修」には、「巡回・清掃・除草・剪定・除雪・設備点検・橋梁点検・橋梁補修・舗装補修・トンネル補修・耐震補強・法面斜面の防災対策」がある。

国交省HP参照抽出編集:http://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2013data/1306/1306douro_hou_kaisei.pdf


2⃣ 国家賠償法には

・国家賠償法は、昭和22年10月27日(法律125号)にできました(施行)。民法の特別法。

国家賠償法2条1項

「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償する責めに任ずる

その他、適用に当たっては、民法他の法律によるとある(同4条・5条)

㊟:同6条「この法律は、外国人が被害者である場合は、相互の保証がある時に限り、これを適用する。」赤線部分が気になります。



3⃣ 過去の道路の設置・管理の不備により起きた交通事故裁判例

「道路の設置・管理の瑕疵」を問う事件で、下記は重要な判例です。


◆「高知落石事件」(最判昭和45年8月20日民集24巻9号)

昭和36年国道の山側からの落石が車にあたり、貨物自動車に乗っていた16歳青年が即死した事件。
判決:賠償責任については「過失を問わない=過失でも責任があるとされた(無過失責任)」と「道路維持管理には、予算がなかったからという理由は通らない(予算抗弁の排斥=言い訳するなと言う事です)」と言う。


◆他に有名な事件として、「岐阜県国道41号飛騨川バス転落事件」(名古屋高裁昭和48年(ネ)第204号49年(ネ)第195号)昭和 49 年 11 月 20 日判決
判決:道路管理者有責


◆「放置トラック事件」(最判昭和50年7月25日民集29巻6号)

国道に長時間故障放置されていたトラックに原付が激突して運転者が死亡した事件。

判決:県土木事務所が「道路を常時巡視して応急対処する監視をしていなかったので道路状況も知らなかったという、道路の安全管理に瑕疵があった」とされた。


4⃣最後に

この条文は、上記のテーマにおいては、道路法などが特別法になりますが、一般法として、とても重要な条文です。というより、法律の存在自体が重要です。

憲法が国の基本法なら、この法律も同じく、国側にも、国民側にも、「国を守る・国民を守る」為の法律です。

それは、国側の賠償という弁償行為のみを言うのではなく、そういう事が起きないようにするための防衛策をとる=適切な維持管理が必要という点においての監視役になっているからです。

ちなみに、「国を守る」「国民を守る」とは、安全性だけを言うのではなく、快適な生活・幸福な生活・豊かな生活も意味します。当然ですが。





車 庫 証 明  岐 阜 中 央 オ フ ィ ス

車庫証明、車登録抹消も頼んで安心・簡単・迅速・安上がり

0コメント

  • 1000 / 1000

行政書士井原法務事務所
058(241)3583